進化についての理解 | 進化の中立説を紹介したい。

「進化」って日本語では、「読んで字のごとし」で進むと言うpositiveなニュアンスがあると思う。
その英語は、「evolution 」だと思う。
ところが英語のevolutionには、日本語ほど「進む」と言うニュアンスはないような気がしてならないのだ。

現在ではヒトが進化の頂点だと思われている。と言うか、ヒトは「勝手に」思っている。
動物分類学で言う下等生物は、ヒトまで進化せずに止まったという観点である。

tv界などで「進化」という日本語が曖昧にとび交う昨今だ。

ところがである。遺伝学特にDNAを対象とした分子遺伝学では、「進化の中立説」というのが、定説になっている。
故・木村資生(もとお)博士が提唱した当初仮説だったが、今では定説となっている。
それは、現存する生物は、DNA単位では同様な率で変化しているとする説である。
例えば、細胞分裂あたり、細胞あたり、10のマイナス6乗程度で一定の変化をしていると言う。
だから、最初に現れたヒトと現在のヒトは、年数(実際には細胞分裂の絶対数、細胞数)に比例してDNA配列から見るとまるで変化していると言うわけ。
それは、下等だとされる例えばイモリであっても、ヒトとまるで同じ率で変わっていると言う。
DNA配列・調べられるものを調べた限り、全て木村先生の説は正しかった。
 
そうすると、例えば原始的だとされる大腸菌とヒトとの形作りって何が違うんだ、と言う疑問が湧く。
この点が、中立説が受け入れ難いところである。
未だに明快な答えはないが、いわゆる進化は「偶然の賜物」と言う説が一つの説明である。
だから、人がヒトになったのは物理学などで言う単なる確率としてそう言う偶然が起こったと言う考えだ。
 
これもにわかには信じがたいところである。
誰もまだ明快な解答を持っていない。
 
あるいは、以下の考え;
遺伝子そのものは同率で変化しているがこれはいわばanalog変化。
遺伝子の出現・消失と言うのはもしかしたら突然on-offされるdigital変化なのかもしれない。

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ところで一部の例外を除いて高等だとされる生き物ほど、DNA配列の長さが長いと言う知見がある。
例外とは、種子植物 単子葉植物のユリとか。
 
多くの高等(と分類される)生物DNA配列は、各種RNA分子、hnRNA->mRNA->amino acids polymer->protein,となる部分以外に多数の訳のわからない配列を含んでいる。
多くは、重複したような配列だったり、機能がわからない配列である。これを、ジャンクDNAと呼ぶ人もいるくらいだ。例えば、ヒトではジャンクDNAだらけで、機能がわかる遺伝子はその大多数のゴミ配列の中に浮かんでいると言う研究者もいるくらいだ。
大胆な仮説として、これは将来の遺伝子の保存庫であり、いつの日か機能の理解できる遺伝子の仲間入りすると言うものがある。

当然これらも一定の率で変化している筈。
これらがevolutionの鍵を握っているのではと言う仮説もある。
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木村先生につぐもう一つ天才の出現が待たれるところである。
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