カスミサンショウウオのシーズン到来と。

3/22/2020

herpetoculture

カスミサンショウウオについて。

 今朝、裏庭をイモリの小さい個体が歩いていた。啓蟄も過ぎ、漸く春だろう・・・。
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サンショウウオという名前は、聞いたことはあっても実物個体を見たことのある人はあんがい少ないような気がする。かく言う筆者も1958年春に自宅上の溝に流れてきた幼生を見たことはあっても親は図鑑でのみ知るだけであった。5年前に引っ越した自宅敷地内の側溝で卵塊を見つけた時は、びっくりしてしてしまった。サンショウウオはカエルやイモリと同じ脊椎動物両生類に属する。形はイモリに似て有尾類で、自然豊かな特に夏の温度が上がらない湿った環境にしか生息しないと言われている。種類も個体数も少なく、それ故人目に付きにくい。動物進化の観点からは「生きた化石」と呼ぶ人がいるくらい、珍しい動物になる。人によっては少しグロテスクかもしれないが、危害は全く加えない安全な隠れて生活する見つかりにくい動物といえる。長崎県には、カスミサンショウウオが生息している。サンショウウオのなかでは最も知られている。止水性とされている。生息場所として、山裾の平坦部の人里からすこし離れた小さな川や池沼の周辺とされる。生息場所も生息数も減少していると危惧されている。筆者の経験から少し書いてみる。2013年12月に見た時は、すでに卵塊が側溝にかなりその数1桁後半くらいは産卵されていたと思う。この頃は生息の全盛期だったようで、産卵期は12月には始まり翌年の3月初め啓蟄あたりまで延々続いていたようだ。不幸にも2014年秋から裏山の防災工事が始まってしまって、2015年末には擁壁までできてしまった。そのため山からの水脈が断たれ、夏期の地表温度が格段に上昇してしまったと思う。それでも卵塊は1シーズン6、7個は生んでいた。2017年夏には夏眠中の個体を写真に撮っている。それが、毎シーズン少しずつ減り、2017-18には2卵塊程度しか確認しなかった。これは間隔から推定して1尾のみのメスによる産卵と考えていた。またその側溝にはサワガニが生息しているので、彼らの絶好の餌にもなっていて成体になるにはかなりの個体数が必要となっていて前途多難である。2018-19年ついに、卵塊を確認していない。くわえて2019年春・夏には南側の雑林が宅地化されてしまった。ついに絶えたようで、2019-冬-2020初旬のシーズンで卵塊は未だ確認していない。近くにはまだ生息地はあるようだ。それで、試しに1卵塊を採ってきた。前日の雨で孵化が始まっていて、卵塊のうち1/3程度以下しか残っていない写真になってしまった。(動物学の分野では、写真より黒インクで手書きスケッチして発生過程を追っている。この写真を見るとまさにそのようなスケッチにはかなわないとつくづく思っている。)



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